• 加賀山 耕一

【007】空き家の入居者は契約期間途中で立退きを余儀なくされることがあるのか?

最終更新: 2019年12月8日



やっとのことで大家さんから芸術村が借りた空き家物件は、大家さん側にやむをえぬ事情があれば契約期間途中であってもお返しする、という千住芸術村の覚悟は前回書いた通りだが、いっぽうで、 「芸術村からその空き家をサブリースで借り受けた若手アーティストや起業家はいったいどうなるの?」 「そんな先が見えないサブリース契約では困るのでは?」 というツッコミを入れたい読者もおられたのではなかろうか。当然である。


実際、若手アーティストらと交わすサブリース契約の内容をつぶさに見れば、大家さんと芸術村との賃貸借契約が解除されたらサブリース契約も終了。大家さんの意向に沿った緊急退去があることを前提に契約を交わしていることは確かだ。


言うまでもなく緊急退去の原因は一にも二にも「相続」である。 つまり大家さんの逝去、あるいは入院後の病状によって「相続」が目前に迫った親類家族の、多額の相続税を支払わねばならない状況による。


これまで2例あり、うち1例は相続されたご遺族がそのまま貸してくださり事なきを得、もう1例は涙をのみ、以後こうした緊急事態を想定し、密かに対策を講じる必要が生じた。

乏しい頭で考えた対策とは何か。2つある。


ひとつは、入居者が理屈をこねてご自分側にだけ有利に事を運ぼうとする人物か、それとも人の道を理解する人物かを見極めてからサブリース契約をするということである。

縁があれば人それぞれに縁は育めるが、縁がなければ何をどうしたって縁は続かない。無理スジを追っても双方時間の無駄である。

人知の及ばぬ所もあり、すべてを言葉で説明するのは難しいが、この道理を若いなりにうっすらとでも理解していただけそうな人を選ぶということである。


ふたつめは、すぐに使える空き家の代替ストックを隠し持つということ。

残念にも退去しなくてはならなくなった場合、次に移れる空き家があれば、引っ越し等少しガマンしていただくことにはなるが、路頭に迷うということはなくなる。いざという時のため、ちょうど車にスペアタイヤを1本積んで走るようなものである。


ならば実際に千住芸術村には空き家のストックがあるのか、との疑問を持たれた方も多いと思うが、これが大きな声では言えないが、どういう訳かあるのです。とくに契約はしていないが、契約の一歩手前、すぐにも契約が可能な、喜徳な大家さんと芸術村(筆者)との阿吽の呼吸の内にある空き家です。


いつから未契約ストックを意識したかは定かではなく、いつなくなるかも定かではないが、いまあるストックは、ここまで空き家再生に関わる過程10年の中で、いつの間にか、気づいたら、「ある」という状態になっていた。


しからば実際に空き家のストックがあるなら、とっととリノベーションし、どんどんサブリースすればいいではないか、と再度つっこみが入りそうだが、いまの芸術村の力量では1年1棟のリノベが精一杯。


少し経営のわかる人なら、初期投資(最低限使えるまでに)1棟平均100万円を投じ、サブリースでプラスになるのが平均月額2万円(年24万円)、もとをとるのに4年2ヵ月。その4年間に何があるかわからないとなると、なかなかビジネスとしては成立せず、やせ我慢はできても無理はできないと計算せずともわかる。


現時点では、これ以上の動きは無理なので、ROJIBI(千住旭町路地裏美術館)が出来て一段落し、少しつ資金が貯まったら、迷わず次へという具合に、1、2棟のストックはちょうど間合いがいいのだ。


空き家へ入居者してくださる若手アーティストや起業家の皆さんには、雨漏り隙間風のほか、何かと不自由をおかけすると思うが、空き家とはそういうもんだとあきらめて、千住の空き家暮らしを楽しんでいただきたい。

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