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執筆者の写真加賀山 耕一

[6]なぜ1年限定なのに空き家(7棟目)をリノベーションしたのか?

更新日:2021年4月13日



ROJIBIは1年間限定のオープンです、と言うと皆さん驚かれます。 わずか1年しか使えないとわかっているのに、100万円以上もの費用をかけてリノベーションするとは常識では考えられない(狂気の沙汰)と言う人もいました。


それはその通り。入場料300円では、資金回収は不可能。まともな人なら絶対にやらない。

どこかで空き家再生をもくろむ人の多くは、おそらく収支を考えやめておく。もっと儲かる物件を探そう。ほかにもっと安全な物件があるはずだと。芸術村は儲かるから空き家再生をやるのではなく、安全を見つけて再生するのでもありません。


千住地域の空き家再生そのものに価値を見出す。つまり1棟だけの収支で考えない。普通の賃貸借契約の場合の2年や3年契約と比較して、1年が特に短いとも思わない。


空き家再生を机上であれこれ考える人が誤解しているのは、空き家も普通の不動産物件のように賃貸借契約書通りに事が進むと思っていること。たとえば3年契約の契約書に捺印すれば、確実に3年借りられると思ってること。


強引に法律論を持ち出せば話は別だが、すくなくとも芸術村が関わる実際の空き家はそうはしません。


大家さんの側の事情がいつ変わるかわからない。何かの事情で「お返しください」と言われたら、たとえ契約期間が1年2年と残っていても、多量の涙を呑んでお返しすことになる。契約書にそんなことは書いてなくても、芸術村はそうしています。


なぜなら、借りられたのも大家さんの事情の賜だから。

やむにやまれぬ事情で、返してください、と言われれば、いつでもお返しするのが筋(スジ)というもの。契約書よりも大家さんの切なる事情を優先。だから10年契約の物件も1年でお返しするとわかっている物件も大差ないということです。


千住芸術村はそういう覚悟で空き家を借りている。 だから1年は決して短くない。大げさに言えば、宇宙や地球の悠久の時間の流れからすれば、なに1年も10年も変わりなく一瞬です。あっという間でしょう。きっと。


縁あって空き家を借りられるとなれば、その貸してくれるという「縁」を大切にして、出来る限りのことをする。つまり、やせ我慢とおそるべき楽観によるDIYリノベーション。


ただし初めから1年間とわかっていて、大工さんに頼んだり、人さま(若手アーティスト)にサブリース(又貸し)はできませんから、ROJIBIはDIY施工に徹し、美術館にして自前で運営することになりました。


つきつめて考えれば、人は明日の命だってわからない。まして1年後のことなど誰にも何の確証もない。


いまやれることをひとつひとつ誠実にやっていく。賛否あって大いに結構。密かに嗤う人はお嗤いいただき、黙殺も歓迎。認めてくださる人は認めてくださる。どちらかだけの世の中はない。過ぎ去ってみれば空き家再生など大したことではない。喜んでくれる人がいて心静かに楽しいだけだ。

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